沖縄といえば、白い砂浜や青い海を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、もうひとつ忘れてはいけないのが「フクギ並木」。その美しい緑のトンネルは観光スポットとしても有名で、特に本部町備瀬の並木道は全国的にも知られています。

そんなフクギ並木の近くに住むという選択には、自然の恩恵と観光地ならではの特徴が混在しています。今回は、フクギ並木エリアの物件を選ぶ際に知っておきたいメリットとデメリットを整理しました。

フクギ並木の“緑”がもたらす快適さ

フクギは、防風・防砂・防火の役割を持つ常緑樹で、沖縄では昔から家屋の周囲に植えられてきた歴史があります。フクギ並木の近くに住む最大の魅力は、この自然の力による住環境の安定です。

日差しを遮り、夏でも涼しい

沖縄の日差しはとても強く、夏場はアスファルトが焼けるほど。しかし、フクギが日陰をつくってくれるおかげで、家の中が熱くなりにくく、エアコン代の節約にもつながります。

風よけ・砂よけになる

海に近いエリアでは、潮風や砂埃が建物に直接当たりやすいですが、フクギ並木がそれを和らげる役割を果たします。結果として、外壁や車の劣化が遅くなるという効果も期待できます。

自然と共存する暮らし

鳥のさえずりや木陰の風が日常の一部になり、忙しい毎日の中でリラックスできる時間が生まれます。子育て世帯にとっても、自然を身近に感じられる環境はプラスです。

観光地に住むという現実

一方で、フクギ並木の周辺は観光客が多く訪れる場所でもあります。住むとなると、観光地特有の環境にも目を向ける必要があります。

人の出入りが多い＝プライベート空間が制限される

平日・休日問わず、道に観光客が多く、ベランダや庭でのんびり過ごしたくても視線が気になることがあります。特に午前〜午後の観光ピーク時には、騒がしさを感じる人もいます。

周辺駐車場の混雑や路駐リスク

観光客の車で周辺道路が混雑したり、指定外の場所に駐車されることも。小さなお子さんがいる家庭では、安全面に注意が必要です。

生活施設が少ないことも

観光エリアは景観や風情を大事にしているため、コンビニやスーパー、病院などが徒歩圏にない場合があります。車がないと不便を感じる可能性もあるため、内見時の確認は必須です。

将来の価値と災害リスクの両面を見る

フクギ並木周辺は人気エリアであることから、物件価格や地価が安定している傾向があります。将来的に売却や賃貸に出すことを考えた場合も、有利に働く可能性があります。

ただし、フクギが植えられている場所の多くは海に近く、津波や高潮などの災害リスクがゼロではありません。ハザードマップを確認し、保険内容の確認も忘れずに行いましょう。

暮らし方の“優先順位”で判断する

フクギ並木の近くに住むという選択は、「自然」「景観」「癒し」などを重視する方には非常に魅力的です。しかし、静かさやアクセス、生活利便性を求める場合は、別のエリアの方が適しているかもしれません。

私たちとしては、不動産は「今の自分の価値観」で選ぶだけでなく、「5年後、10年後の生活」を見越して選ぶべきだと考えています。

自然と共に暮らすという選択肢

フクギ並木の近くに住むことには、他では味わえない魅力があります。一方で、観光地としてのにぎわいや、生活インフラの弱さといった現実も存在します。

物件選びにおいては、メリットとデメリットを正しく理解したうえで、自分たちの暮らしに何を求めるかを明確にすることが大切です。沖縄の自然に囲まれた暮らしが、自分と家族にとって豊かな毎日へつながるかを、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。