沖縄では近年、空き家の増加が深刻化しています。総務省の住宅・土地統計調査（2023年）によると、沖縄県内の空き家率は約13.2％。これは全国平均（13.8％）とほぼ同水準ですが、今後は少子高齢化や相続の増加により、空き家がさらに増えると予測されています。

特に離島や郊外エリアでは「使われていない家が売れない」「維持費だけがかかる」といった悩みが多く聞かれます。今回は、空き家を売却する際に知っておきたい実践的なポイントを、沖縄の地域事情を踏まえて解説します。

空き家を放置するリスクとは

空き家をそのままにしておくと、固定資産税の負担が増える可能性があります。

2015年に施行された「空家等対策特別措置法」により、管理が不十分な空き家は「特定空き家」として指定されることがあります。指定されると、固定資産税の軽減措置（1/6）が解除され、税額が数倍になることもあります。

また、沖縄は台風の影響が強く、老朽化した建物が倒壊したり屋根材が飛んだりする危険もあります。これらが第三者に損害を与えた場合、所有者が責任を問われるケースもあります。

沖縄の空き家売却は「現状渡し」でも可能

「修繕費がかかるから売れない」と思う方も多いのですが、実際は現状のまま売却する方法も一般的です。

特に近年は、リノベーション目的で中古住宅を購入する投資家や若い層が増えています。

例えば、那覇市や浦添市の古い木造住宅（築40年以上）でも、立地が良ければ800〜1,200万円程度で取引されるケースもあります。

また、土地だけを評価して買い取る「古家付き土地買取」も可能です。解体費を考慮して査定額が算出されますが、維持管理の負担を早く手放したい人には有効な選択肢です。

相続した空き家を売る場合の特例

相続によって取得した空き家を売却した場合、一定の条件を満たすと最大3,000万円の特別控除が受けられます。

これは国税庁の「被相続人の居住用財産（空き家）に係る譲渡所得の特別控除の特例」によるもので、主な条件は以下の通りです。

・相続した家が故人の居住用だった

・昭和56年5月31日以前に建築された

・譲渡価格が1億円以下である

この特例を活用すれば、売却益にかかる所得税・住民税の負担を大きく減らすことができます。沖縄では戦後に建てられた古い住宅が多く、対象となるケースが少なくありません。

空き家を「買取」で早く売る選択肢

「早く処分したい」「遠方に住んでいて管理ができない」という場合は、不動産会社による直接買取も検討する価値があります。

仲介での売却に比べて価格はやや下がりますが、買い手を探す手間がなく、最短で数週間で現金化が可能です。

特に沖縄では、台風シーズン前に手放したいという相談が多く、買取需要が高まる時期（5〜7月）を狙うのもポイントです。

まとめ

沖縄の空き家問題は、もはや一部の地域だけの話ではありません。

放置すれば税金負担が増えるだけでなく、資産価値がどんどん下がってしまいます。

しかし、現状渡しや相続特例、買取など、売却の方法を工夫することで負担を軽減し、資産を有効に活用できます。

空き家をどうするか悩んでいる方は、まずは複数の不動産会社に相談し、自分の家の「現実的な価値」を知ることから始めてみましょう。

それが、将来のトラブルを防ぐ最も賢い第一歩です。