不動産を売るとき、まず行うのが「査定」です。

しかし実際、多くの方が「近くの不動産会社に1社だけ査定を頼んで決めてしまう」というケースが少なくありません。

結果として、本来よりも安く売却してしまったり、販売期間が長引いてしまったりすることがあります。今回は、査定を一社に絞るリスクと、複数社に依頼することで得られる大きなメリットを解説します。

一社だけの査定では「市場価格」がわからない

不動産の査定額は、同じ物件でも会社によって数十万～数百万円の差が出ることがあります。

たとえば、沖縄県内の那覇市中心部にある築15年のマンション（70㎡前後）を査定した場合、A社は2,900万円、B社は3,300万円という差が出ることも珍しくありません。

なぜここまで違うのかというと、査定には各社の「販売戦略」や「過去の成約実績」が反映されるためです。

一社だけに依頼すると、その会社の考え方に偏った査定額を信じてしまい、市場全体の動きを正確に把握できなくなります。結果として、相場より低い価格で売り出してしまうリスクが高まります。

複数査定で「本当の価値」を知る

国土交通省の不動産取引価格情報によると、沖縄では地域や立地による価格差が特に大きい傾向があります。

例えば那覇市と糸満市では、同じ広さ・築年数の住宅でも平均成約価格に約800万円の差が出ています。

こうした地域性を正しく反映させるには、複数社に査定を依頼して「平均的な相場」を見極めることが重要です。

3〜5社に依頼することで、各社がどんな根拠で金額を出しているのかが比較できます。

中には「高めに査定して契約を取ろうとする会社」もあるため、説明の根拠が明確で、データを提示してくれる会社を選ぶと安心です。

査定額の「高い・低い」よりも「根拠」を見る

多くの方が「高く査定してくれた会社を選べば得」と考えがちですが、それは大きな落とし穴です。

高すぎる価格で売り出すと、問い合わせが減り、結局「値下げ」せざるを得なくなるケースが非常に多いのです。

不動産流通推進センターの調査によれば、販売開始から3か月以内に売れた物件の約70％が「相場価格に近い設定」でした。

つまり、査定額の高低よりも「なぜその金額なのか」という根拠を確認することが、成功への近道です。

沖縄での査定依頼時に意識すべきポイント

沖縄は本土と比べて土地の形状や接道条件、海に近い立地など特殊な要素が多くあります。

特に海沿いの物件は景観価値が高く、同じ坪数でも査定が10〜20％上がることがあります。

一方で塩害や風害による建物劣化リスクも査定に影響します。

こうした地域特性を理解している地元密着型の不動産会社に複数依頼することで、より現実的な価格を導き出すことができます。

まとめ

不動産の査定を一社だけに任せてしまうと、価格設定を誤り、売却期間が長引くリスクがあります。

複数社に依頼することで、相場感をつかみ、根拠ある査定額を見極めることができます。

沖縄で不動産を売るなら、焦らずに比較・検討することが「1円でも高く売る」ための第一歩です。

この記事をきっかけに、あなたの大切な資産をより良い形で手放すための準備を始めてみてください。