親族から引き継いだ家――使い道がなく、そのままにしていませんか？

相続した家の取り扱いには、多くの人が「売るか、活用するか」で迷います。

特に沖縄では、独特の住宅事情や土地制度があるため、慎重な判断が必要です。

この記事では、「売却」と「活用」それぞれのメリットとデメリットを整理し、判断のための基準をわかりやすく解説します。

今ある不動産を、将来の安心につなげる選択肢として考えるきっかけにしてください。

沖縄における相続住宅の現状と課題

まず前提として、沖縄県内では空き家の増加が問題となっており、総務省のデータによると2023年時点で沖縄の空き家率は全国平均をやや上回る約14.2％となっています。

特に相続をきっかけに管理されない家が増加しており、放置による老朽化・税金負担・近隣トラブルが懸念されています。

このような背景からも、相続後は早めに「どうするか」を決めることが重要です。

①住む予定があるか、将来的に使う予定があるか

最もシンプルな判断基準は「その家に自分や家族が住むかどうか」です。

• 今後使う予定がない → 売却を前向きに検討
• 老後に使う、子どもが住む予定 → 管理を続けながら保有

ただし、「いつか使うかもしれない」と曖昧なままで長期間放置されるケースが多く、結果として老朽化や税負担の増加に繋がることもあります。

予定が不明確な場合でも、早めに方向性を決めることが財産を守る第一歩です。

②物件の状態と立地

沖縄は高温多湿・台風が多いため、空き家の老朽化スピードが早く、10年放置で資産価値が半減することもあります。

また、次のような要素は売却や活用のしやすさに大きく影響します。

• 築年数（20年以上の場合はリフォーム前提で考える）
• 接道条件や市街化区域の有無
• 駐車場の有無
• 近隣の生活環境（学校、スーパー、公共交通機関）

人気エリア（那覇市、浦添市、宜野湾市など）であれば、売却・賃貸どちらも選択肢が広がります。

③維持コストと税金負担

相続した不動産には、以下のようなコストが継続的に発生します。

• 固定資産税・都市計画税
• 修繕・管理費用（年1回でも数万円）
• 空き家管理サービスの利用料（民間の場合：月3,000円～）

さらに、相続後の名義変更（登記）をしないままでは売却もできません。

令和6年4月からは相続登記の義務化も始まっており、放置がリスクになる時代です。「維持費が今後10年でいくらかかるか」を試算するだけでも、売却の判断材料になります。

売却する場合の選択肢

• 仲介で買主を探す（時間はかかるが高く売れる可能性）
• 不動産会社に直接買取してもらう（すぐに現金化可能、価格は低め）

売却する際は、複数社に査定を依頼して比較することが重要です。

また、物件の整理（家具・荷物の撤去）や清掃を事前に行うことで、印象を良くし、査定額アップにつながるケースもあります。

活用する場合の選択肢

• 賃貸物件として貸し出す（安定した収入を得られる）
• リフォームして自宅・セカンドハウスにする
• 空き家バンクに登録して地域貢献を目指す

ただし、リフォーム費用や設備の更新が必要な場合、初期投資がかさむため、収支計算は慎重に行う必要があります。

家の未来を決めるのは、今のあなたの判断

相続した家は、放置すれば“負債”に、行動すれば“資産”になります。

沖縄の不動産市場は、今も一定の需要があるため、早めの決断がより良い結果を生む可能性が高いです。

「売るべきか、活用すべきか」

悩んだときは、物件の状況・コスト・将来の見通しを整理し、信頼できる不動産会社と一緒に最適な選択を探してみてください。