「いつかは家を買いたい」と思いつつも、月々のローン返済や固定資産税を考えると、賃貸のままがお得では？と迷う方も多いはずです。沖縄の不動産市場には独特の特徴があり、賃貸・持ち家それぞれにメリット・デメリットがあります。今回は、沖縄で“得する”のは賃貸か持ち家かを一つの視点に絞って比較します。

賃貸のメリット：初期費用を抑えて柔軟に住み替え

沖縄県内の平均家賃は、那覇市など都市部で約6.8万円、郊外の豊見城市や糸満市で約5.5万円（令和5年度賃貸住宅管理業協会調べ）。敷金・礼金を含む初期費用は家賃の4～6ヶ月分が相場です。たとえば家賃6万円の物件なら、24万～36万円で入居可能です。

賃貸の最大のメリットは、住み替えの自由度が高いこと。転勤や家族構成の変化に合わせて、すぐに引っ越せる柔軟性があります。また、修繕や設備故障は大家や管理会社負担で対応してくれるため、急な出費リスクを抑えられる点も魅力です。

持ち家のメリット：長期的視点で“固定費”を安定化

一方、沖縄県の平均新築マンション価格は、那覇都市圏で約3,500万円、郊外エリアで約2,800万円（令和4年度国土交通省データ）。自己資金を物件価格の2割（560万～700万円）用意し、残りを35年ローンで返済すると、毎月の返済額は約7～8万円程度になります（変動金利1%台想定）。

持ち家のメリットは、長期的に見た住宅コストの安定化です。ローン返済後は家賃支払いがなくなり、固定資産税や修繕積立金を差し引いても、将来的な住居費は賃貸よりも抑えられる可能性があります。また、住宅ローン控除などの税制優遇を活用すれば、手取り収入の改善にもつながります。

デメリット比較：賃貸は“払い続ける”リスク、持ち家は“負担増”リスク

賃貸のデメリットは、いくら家賃を払い続けても資産にならない点です。長期的に見れば、支払った総家賃が持ち家の購入費用を上回るケースもあります。たとえば、家賃6万円を35年間払い続けると、2,520万円の支出になります。

持ち家のデメリットは、定期的な修繕費用や固定資産税の負担増です。沖縄の築20年以上の住宅では屋根・外壁のメンテナンスが必要になることが多く、10年ごとに200万～300万円程度の修繕費がかかる場合もあります。また、地価変動リスクや災害リスクを考慮しなければならない点も見逃せません。

市場に対する意見：沖縄では“住み心地”を優先すべき

私自身、沖縄の不動産仲介でお客様と接する中で感じるのは、数字だけで「得か損か」を判断するのは危険だということです。家賃やローン返済額、税金まで含めたコスト比較はもちろん大切ですが、実際の住み心地や管理体制、将来の転勤可能性なども総合的に考える必要があります。

沖縄は観光都市であり、リゾート開発やモノレール延伸計画も進行中。将来的に資産価値が上がるエリアを狙うなら持ち家も有効ですが、家族のライフステージや働き方によっては賃貸の方がストレスなく暮らせるケースも多いと感じています。

未来の選択：自分に“得する”ライフプランを描く

最終的に賃貸か持ち家かの選択で“得する”のは、自分や家族の将来設計に合った方です。

• 転勤や収入変動リスクが高いなら、初期費用を抑えて流動性を確保できる賃貸
• 将来も同じ場所に腰を据える見通しがあるなら、ローン返済後の“家賃ゼロ”を目指せる持ち家

どちらも沖縄の不動産市場で“得する”ポテンシャルを秘めています。まずは家計シミュレーションを行い、将来のライフイベントを洗い出し、最適な選択肢を選んでください。

自戒を込めて言いたいのは、“得する”かどうかは数字だけでなく、安心できる住まいを手に入れることです。その先に広がる、家族の笑顔あふれる未来を想像してみましょう。